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現場が教える「バーチャルオフィス 法人口座」は作れる?審査の要点

ビジネスポート統括マネージャ―|斎藤陽子公開更新
現場が教える「バーチャルオフィス 法人口座」は作れる?審査の要点
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バーチャルオフィスという理由だけで決まるわけではない

まず理解しておきたいのは、「バーチャルオフィスだから法人口座を開設できない」と一律に決まっているわけではないということです。

金融機関は法人口座の開設にあたり、法人や代表者の本人確認だけでなく、取引の目的、事業内容、実質的支配者などを確認することが求められています。

そのため、審査では次のような点を総合的に確認されます。

●どのような事業を行っているのか
●誰に、どのような商品やサービスを提供するのか
●どこから入金があり、何に支払う予定なのか
●なぜその金融機関の口座が必要なのか
●法人を実質的に支配している人は誰なのか
●登記住所や事業拠点に実態があるか

住所も確認事項の一つですが、バーチャルオフィスという住所の種類だけで、審査結果が決まるものではありません。

実際に、レンタルオフィスやバーチャルオフィスを利用しながら、法人口座を開設された方はいます。

一方で、貸事務所や自社物件を利用していても、事業内容や取引目的を十分に説明できなければ、必ず口座を開設できるとは限りません。

大切なのは、立派な事務所を用意することよりも、誰が、どこで、どのような事業を行い、どのようなお金の流れが発生するのかを説明できることです。


金融機関によって確認方法には差がある

これは20年以上、現場で相談を受けてきた中での実感ですが、金融機関によって、確認方法や審査への向き合い方には差があります。

実際に、レンタルオフィスやバーチャルオフィスを利用している契約者から、あるメガバンクで口座を開設できなかったという相談を受けたことがあります。

ただし、そのケースでは、銀行から審査理由の詳細が開示されたわけではありません。

そのため、オフィスの形態だけが理由だったのか、事業内容や取引予定、提出書類など、ほかの確認事項も影響したのかは分かりません。

一方で、同じようにサービスオフィスを利用している方でも、問題なく法人口座を開設されたケースもあります。

また、地方銀行の担当者が実際にビジネスポートまで訪れ、契約者と面談したうえで、口座開設の相談に応じた例もあります。

銀行の担当者からも、まず事業の実態を確認することが大前提だという話を伺ったことがあります。

「メガバンクだから必ず厳しい」「地方銀行なら必ず開設しやすい」と単純に分けられるものではありません。

金融機関ごとに対象とする顧客やサービス、確認方法が異なるため、自社の事業内容や利用目的に合った金融機関を検討することが大切です。


なぜ銀行は事業の実態を詳しく確認するのか

銀行が慎重になる背景には、法人口座が、実体のない法人やマネー・ローンダリング、特殊詐欺などに悪用されてきた事情があります。

犯罪収益移転防止法では、金融機関などの特定事業者に対し、本人特定事項、取引目的、事業内容、実質的支配者などの取引時確認が求められています。

これは、バーチャルオフィスの利用者を排除するための制度ではありません。

会社名義の口座が不正に利用されることを防ぎ、預金者や社会全体を守るための確認です。

そのため、口座開設を申し込む側も、次の点を具体的に説明できるようにしておく必要があります。

●なぜ、この会社を設立したのか
●どのような商品やサービスを提供するのか
●どのように売上が発生するのか
●どのような入出金を予定しているのか
●どのような取引先と取引するのか


「提携銀行あり」という言葉を、そのまま信じない

バーチャルオフィスを比較していると、「提携銀行あり」「銀行口座開設サポート付き」といった案内を見かけることがあります。

ただし、その内容は事業者によって異なります。

金融機関を紹介してもらえる場合もあれば、申込ページの案内や、必要書類の準備をサポートすることを「提携」「口座開設支援」と表現している場合もあります。

大切なのは、次の点を具体的に確認することです。

●どのような支援を受けられるのか
●金融機関へ直接紹介してもらえるのか
●事業者から金融機関へ資料を連携してもらえるのか
●単に申込窓口を案内されるだけなのか
●口座開設後に費用が発生するのか

また、「紹介してもらえること」と「審査に通ること」は、まったく別の話です。

紹介制度があったとしても、最終的な判断を行うのは金融機関です。

ビジネスポートでも、希望される方には、地方銀行へのご紹介を行うことがあります。

入居面談の際に事業計画書や会社案内、代表者の経歴書などをお預かりしているため、ご本人の了承をいただいたうえで、資料を銀行側へ連携し、口座開設の相談につなげる場合があります。

ただし、ビジネスポートから紹介した場合でも、口座開設を保証するものではありません。

「提携銀行あり」という言葉だけで判断せず、実際にどのような支援を受けられるのかまで確認することが大切です。


入居面談が、法人口座開設の準備になる

契約前の入居面談で、「事業内容や利用目的について、なぜここまで聞かれるのだろう」と感じる方もいるかもしれません。

ビジネスポートでは、施設の信頼性を保ち、事業の実態を確認するため、原則として代表者ご本人との入居面談を行っています。

事業用住所を提供し、契約者宛ての郵便物を受け取る事業者は、犯罪収益移転防止法上の「郵便物受取サービス業者」に該当します。

郵便物受取サービス業者にも、取引時確認、確認記録や取引記録の作成と保存、疑わしい取引の届出などが求められています。

そのため、入居面談で事業内容や住所の利用目的、実質的支配者などを確認することには、法令上の背景もあります。

ただし、面談は審査のためだけに行うものではありません。

入居時に、次のような内容を整理しておくことは、その後、金融機関や取引先へ自社を説明する際にも役立ちます。

●事業内容
●顧客
●提供する商品やサービス
●売上の立て方
●今後の計画
●代表者の経歴

入居面談で一度、自分の事業を言葉にして説明しておくことで、法人口座の申込み時にも慌てにくくなります。

ある意味では、入居面談が、銀行口座開設の準備を少し前倒しで行う機会になっているのです。


面談から仕事や情報につながることもある

幕張ビジネスポートは、千葉市の「イノベーション拠点認定施設」です。

千葉市の公式サイトにも、レンタルオフィス、シェアオフィス、バーチャルオフィス、貸会議室、受付体制などの施設情報が掲載されています。

幕張ビジネスポートの入居面談は、私自身が担当しています。私は施設のインキュベーションマネージャーも兼務しているため、面談では審査項目だけでなく、事業の内容や今後の展望についても伺います。

その中で、相性がよさそうな契約者同士を、双方の了承を得たうえでおつなぎすることもあります。

また、「以前、同じ業界の方がこのような取組をされていました」「この分野なら、こちらの会員さんと相性がよいかもしれません」といった情報をお伝えすることもあります。

こうしたマッチングや事業支援の内容は、千葉市へのインキュベーション事業の報告にも記載しています。

面談は、単に契約の可否を判断するだけの場ではありません。

自社の事業を整理し、施設側に知ってもらうことで、思わぬ情報や出会いにつながることもあります。


法人口座の申込み前に準備したい資料

法人口座の審査では、金融機関から求められる書類だけを提出すれば、必ず開設できるというわけではありません。

一方で、事業の実態を説明できる資料を揃えておけば、確認を受けた際に具体的な説明がしやすくなります。

申込み前には、次のような資料を準備しておくとよいでしょう。

事業内容を説明する資料

●事業計画書
●会社案内
●商品やサービスのパンフレット
●ホームページ
●ネットショップやサービスページ
●料金表
●代表者の経歴書

取引の実態を示す資料

●契約書
●業務委託契約書
●発注書
●見積書
●納品書
●請求書
●仕入先や販売先が分かる資料

設立直後で取引実績がまだない場合は、予定している顧客、販売方法、仕入先、売上の見込みなどを、事業計画書に具体的にまとめておきます。

事業拠点を説明する資料

●バーチャルオフィスやレンタルオフィスの契約書
●利用している施設の案内
●郵便物や来客への対応方法
●作業場所が別にある場合は、その説明資料

金融機関によって必要書類や申込条件は異なります。

申込みをする際は、必ず金融機関の公式案内を確認し、追加資料を求められた場合にも説明できるよう準備しておきましょう。


実質的支配者の確認は、なぜ必要なのか

法人口座を開設する際には、法人名や所在地、取引目的、事業内容に加えて、「実質的支配者」についても確認されます。

実質的支配者とは、議決権の保有などを通じて、その法人の事業経営を実質的に支配することが可能な関係にある個人のことです。

たとえば、新たに設立する株式会社で、代表者自身が単独で50%を超える議決権を持っている場合は、通常、その代表者が実質的支配者となります。

なぜ、ここまで確認するのでしょうか。

会社の表面上の代表者だけでなく、最終的に誰が会社を支配し、利益を受けるのかを確認しなければ、第三者が法人を隠れみのとして不正に利用する可能性があるためです。

また、事業用住所を提供し、契約者宛ての郵便物を受け取るバーチャルオフィス事業者にも、郵便物受取サービス業者として、契約者の本人特定事項、利用目的、事業内容、実質的支配者などの確認が求められています。

これは銀行だけが特別に厳しくしているものではありません。

マネー・ローンダリングやテロ資金供与などを防ぐため、金融機関や郵便物受取サービス業者を含む社会全体で行われている確認です。


現金取引や海外取引がある場合は、詳しい説明を求められることもある

現金でのやり取りが多い事業や、海外との取引がある事業では、取引内容や資金の流れについて、より詳しい確認を受ける可能性があります。

警察庁の犯罪収益移転危険度調査でも、「現金取引」や「外国との取引」は、マネー・ローンダリング等の危険度が高い取引形態として整理されています。

これは、バーチャルオフィスを利用しているかどうかとは別の問題です。

資金の出所や送金先を確認しにくい取引では、金融機関としても、より慎重に内容を確認する必要があります。

該当する事業を行う方は、次のような点を説明できるようにしておきましょう。

●現金取引が必要な理由
●現金の入出金額や頻度
●海外の取引先や送金先
●取引する国や地域
●仕入れや販売の流れ
●資金の出所
●使用する通貨
●予定している一回当たりの取引金額

海外取引や現金取引があること自体が、問題というわけではありません。

その取引が事業内容と整合しており、資金の流れを具体的に説明できることが重要です。


口座を開設できなかった場合に見直したいこと

金融機関の審査に通らなかった場合でも、必ずしも「バーチャルオフィスだから断られた」とは限りません。

審査理由の詳細が開示されないこともあるため、まずは提出内容を見直します。

●事業内容が抽象的になっていないか
●ホームページや会社案内がない状態ではないか
●取引先や販売方法を説明できているか
●口座の利用目的が明確か
●想定する入出金の内容に不自然な点がないか
●登記住所や作業場所について説明できているか
●提出した情報に食い違いがないか

内容を整理したうえで、別の金融機関へ相談することも選択肢になります。

ただし、金融機関ごとに審査基準や対象とする事業者が異なるため、ほかの銀行なら必ず開設できるという意味ではありません。

申込みを繰り返す前に、自社の事業内容や提出資料が、第三者にも分かりやすい状態になっているかを確認することが大切です。


まとめ

バーチャルオフィスを利用していても、法人口座を開設することは可能です。

ただし、バーチャルオフィスの契約や金融機関からの紹介があっても、口座開設が保証されるわけではありません。

銀行は、オフィスの種類だけではなく、事業内容、取引目的、資金の流れ、実質的支配者、事業拠点などを総合的に確認します。

●バーチャルオフィスという理由だけで、審査結果が決まるわけではない
●金融機関によって確認方法や対応には違いがある
●「提携銀行あり」の支援内容は、事業者によって異なる
●紹介を受けても、最終的な判断は金融機関が行う
●入居面談で事業内容を整理しておくことは、法人口座開設の準備にもなる
●事業計画書や契約書など、事業の実態を説明できる資料を用意する
●実質的支配者の確認は、法律に基づく社会全体の仕組みである
●現金取引や海外取引がある場合は、資金の流れを具体的に説明できるようにする

大切なのは、事業内容と資金の流れを、第三者にも分かるように説明できる状態にしておくことです。

必要な資料を揃えても、法人口座の開設が保証されるわけではありません。

それでも、事業の実態を具体的に示せるよう準備しておくことは、オフィスの形態にかかわらず、法人口座の申込みをするうえで重要です。

ビジネスポートでは、幕張・横浜・竹の塚・長野の各拠点で、バーチャルオフィス、シェアオフィス、レンタルオフィスを提供しています。

契約前の入居面談では、事業内容や住所の利用目的、今後の展望についてもお話を伺っています。

法人設立前で事業内容の整理に不安がある方や、法人口座の開設を見据えてバーチャルオフィスを検討している方は、内覧時にご相談ください。

▼内覧予約はこちらから

https://www.mtg-mbp.co.jp/previewform


参照資料

●警察庁「犯罪収益移転防止法の概要」
https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/hourei/data/hougaiyou20251202.pdf

●経済産業省「郵便物受取サービス業/私設私書箱業」
https://www.meti.go.jp/policy/commercial_mail_receiving/index.html

●警察庁「犯罪収益移転危険度調査書 概要版」
https://www.npa.go.jp/sosikihanzai/jafic/nenzihokoku/risk/gaiyou2025.pdf

●千葉市「イノベーション拠点認定施設」
https://www.city.chiba.jp/keizainosei/keizai/sangyo/ninteishisetsu.html


この記事を書いた人

斎藤陽子|ビジネスポート統括マネージャー


ビジネスポートの開設当初から運営に携わり、現場経験は20年以上。バーチャルオフィスの導入や料金体系の再設計により、年間約1,000万円の赤字を抱えていた施設を黒字化し、幕張拠点を約590坪の規模まで拡大してきました。

現在は、幕張・横浜・竹の塚・長野の4拠点を統括。施設運営をはじめ、サービスや料金体系の設計、空間デザイン、内装・家具の選定、収益計画まで一貫して担当しています。

日々寄せられる契約相談や、郵便物・来客への対応など、サービスオフィスの現場で培ってきた経験をもとに執筆しています。

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執筆者について

ビジネスポート統括マネージャ―|斎藤陽子

編集部

ビジネスポートは1995年の設立以来、20年以上にわたりレンタルオフィス事業を展開しています。現場で培った豊富な経験と専門知識を基に、ビジネスに役立つ信頼性の高い情報を発信します。

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